営業許可証には経営期限が記載されないことになりますが、届け出た経営期限が到来する場合には主管登記機関での期限延長手続きをする必要があります。
企業の経営期限等については、「国家企業信用情報公示システム」を通じて情報を検索することができます。
(現地法人の営業許可証には企業名称・類型【例:有限責任公司 外国法人独資】・法定代表人氏名・経営範囲・登録資本金・設立日期・住所が記載されています。)
この調整は、2022 年 3 月 1 日に施行された「市場主体登記管理条例」及びその実施細則に基づき、企業等の登記事項の統一・合理化に合わせて、営業許可証正本・副本の記載内容を変更するものです。これにより市場主体の経営期限は「登記事項」から「備案(届け出)事項」に変更されました。経営期限の延長をする場合には、「変更決議」・「変更決定」を作成した日又は法定変更事項が発生した日から 30 日以内に登記機関に備案手続きを行う必要があります。
また、上記の変更は登記管理組織を最適化し、申請資料を簡素化し、変更手続きをより簡便にする流れの一環でもあります。
営業許可証のこれまでの流れの変遷は、中国の商事登記組織の進化の縮図と言っても過言ではありません。
2015 年以前
「三証分離の商事登記制度」が実施されており、工商部門(工商行政管理局)、品質検査部門(質量技術監督局)、税務部門(国税局と地税局)がそれぞれの登記証明書を発行していました。
新企業の設立登記・既存企業の登記内容の変更手続きはそれぞれの管轄の役所に順番に出向いて申請をする必要がありました。これは企業の設立・変更登記のコストを高めるだけでなく、各管理部門の間の情報が共有化されていない状況で、政府のサービス効率を下げることにもなっていました。
2015 年 10 月 1 日
政府が「三証合一」改革を推進し、工商部門、品質検査部門、税務部門のそれぞれが発行していた「営業許可証」、「組織機構コード証」と「税務登記証」を工商部門が発行した「統一社会信用コード」を載せた「(三証合一式)営業許可証」に統合整理しました。これにより、「組織コード証」と「税務登記証」は廃止されました。
2016 年 10 月 1 日
中国全国で「五証合一」を推進するようになっています。「五証合一」は「三証合一」に加えて、『社会保険登録証』と『公印刻印許可証明証』を統合整理したものです。
2016 年と 2017 年
『統計登記証』と『住宅積立金拠出単位登記証』などを相次いで統合整理して、「多証合一」、「一照一号」を全面的に推進しています。以後「営業許可証」は企業等の唯一の「身分証明書」、「統一社会信用コード」は企業等の唯一の「身分証明書番号」となっています。
また、2017 年以前は外資企業の設立や登記情報を変更しようとする場合には、工商部門で営業許可証を取得する前に商務委員会等の商務主管部門の承認を経なければならず、承認後、商務主管部門より【批准証書】と【批複】の発行を受けていましたが、2017 年以降は【外商投資企業設立(変更)届出書】がこれらの書類の代わりに発行されることになりました。
2020 年 1 月 1 日
「外商投資法」、「外商投資法実施細則」の施行に伴い、商務部は 2019 年 12 月 30 日に「外商投資情報報告弁法」を公布しました。
この弁法は、現行の開放政策及び「中華人民共和国外商投資法」と一致しない法規、規則、規範的文書の整理に関する国務院の業務命令を徹底することを目的として、商務部内部で関連規則の整理が行った結果として公布されたものです。
これにより、2020 年以降に設立される外商投資企業や既存企業情報の変更を行う場合には、商務主管部門の審査を経ずに、直接に工商部門で備案(又は変更備案)を行った後に「企業登録全過程電子化サービスプラットフォーム」の「オフライン登録情報報告テンプレート」を使ってネット上で情報報告を商務部門に提出すればよい流れになっています。
このように外商投資企業の新規登録や登記事項の変更に際しては役所の窓口に出向いて
行うのは原則として工商局のみとなり、税務局・税関・商務部門等へはシステムを通じて
情報が流れる仕組みになっており、昔と比較するとかなり合理化と手続きの簡便化が進ん
でいると言えます。
(新規設立時には税務局で、自社に関わる税目の確認、増値税の一般・小規模納税人の届け出、発票の入手手続き等を行う必要があります)