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2019年より施行されている現在の中国個人所得税法とそれまでの旧個人所得税を比較して大きく異なる点は、①税務上の居住者・非居住者の区分・判定がより明確化されたこと、②税務上の居住者については、旧税法では個人の所得を1か月単位で確定させて税金を計算していたのに対して、新税法では所得を年収ベースで確定させるため、税率計算表も年収を基に設定されており、年の最初は最低税率での計算から始まり、徐々に適用税率が上がって納付する税金の金額が増えていく点の2つではないかと思います。
上記①の税務上の居住者なのか非居住者なのかということが税金計算上どのように影響があるのかということについては、中国国家税務総局が2019年3月17日に公布した「非居住者個人と住所を有しない居住者個人に係る個人所得税政策に関する公告」(税務総局公告2019年第35号)により、境外から中国に赴任した出向者、年の中途で中国から境外に帰任した出向者のその当年度の税額計算の方法が明確にされています。
国家税務総局公告2019年第35号により、中国に住所を有しない個人は一納税年度内の初回の申告を行う時に、その納税年度内における中国での予定居住日数を仮判定して、その仮判定結果により個人所得税を計算・納税する必要があります。実際の状況が仮判定の情況とは異なることとなった場合には、規定に基づきそれぞれ下記の通りに処理します。
住所を有しない個人が年初(または初回申告時)においてその年の税務上のステータスを「非居住者個人」として申告手続きを行っていた場合に、居住日数の延長により暦年183日以上滞在することになり「居住者個人」の判定条件を満たすこととなったときは、その年の残りの各月の税金の計算方法(源泉徴収方法)は「非居住者個人」のまま変更せず、納税年度終了後に「居住者個人」の資格での確定申告を行うものとする。ただし、当該個人が当年度中に中国を出国し且つ当年度内に再度中国に入国しないと判断される場合には、中国を出国する前に確定申告を実施することを選択することができる。
住所を有しない個人が年初(または初回申告時)においてその年の税務上のステータスを「居住者個人」として申告手続きを行っていた場合に、居住日数の短縮により、暦年滞在日数が183日未満になり「居住者個人」の判定条件を満たさなくなったときは、「居住者個人」の判定条件を満たさないこととなった日から当年度終了後15日間以内(1月15日まで)に、所轄税務当局に報告して、「非居住者個人」として課税所得を計算し直して税金の清算のための申告をする必要があるが、この場合でも追納部分について滞納金は課さないものとされる。税金の還付となる場合は、規定の通りに税金還付の手続きを行うものとする。
住所を有しない個人について、一納税年度の居住日数が累計で90日以下の予定で申告手続きを行っていた場合に実際の累計居住日数が90日を超えたとき、或は相手国の税務上の居住者で租税条約の適用を受けてられるものとして、中国国内の滞在日数が183日未満の予定で中国での申告を行っていなかった者が、結果として暦年滞在が183日以上となったときは、それぞれ90日を超過、或は183日に達した月の翌月15日以内に所轄税務当局へ報告して、過去各月の課税所得を計算し直して、税額を追納する必要があるが、その場合でも滞納金は課されないものとされる。
注記:納税年度の初回仮判定は主に下記の3パタ-ンに区分されます。
暦年中国累計居住日数 90日以下(90日含む) | 暦年中国累計居住日数 90日超183日未満 | 暦年中国累計居住日数 183日以上(183日含む) |
---|---|---|
非居住者個人 | 非居住者個人 | 居住者個人 |
注)出入国当日は、累計居住日数としてカウントしない。
非居住者について、中国での暦年居住累計日数が183日以上となり「居住者」要件に該当する(2025年以降は:且つ、累計居住日数183日以上の年が連続して6年間未満の居住者)場合は、中国国外勤務期間に帰属する賃金等で、且つ中国国外の会社等が支払い負担した賃金所得を除いた後の部分は、中国で個人所得税を計算・納付する必要がある。
帰任時に実際の累計居住日数により「非居住者」として個人所得税を計算し直し、税金の清算を行う必要がる。
その年の中国での累計居住日数が90日以下の非居住者個人は、中国国内の雇主より支払い或は負担される給与賃金所得についてのみ個人所得税を計算・納付している状況で、その者が、帰任時において居住日数が90日超183日未満となった場合には、中国での勤務期間に対応する中国国外の派遣元会社より支払われる給与賃金所得も中国で個人所得税を計算・納付が必要となる(租税条約の適用がある状況を除く)。
そのため、この場合も税金を計算し直して納税精算を行う必要がある。
帰任前後の納税ステータスに変更は無く「居住者」であるが、年の中途で帰任することになり、税務上の基礎控除費用月額5,000元を12回分(60,000元)取り切れていない場合は、別途確定申告手続きをすることで年度綜合所得の計算方法を採用して年間控除費用60,000元を使って税額を再計算して、税金還付手続きをすることができる。
(5,000x月数x適用税率分の税金が還付)
年初の納税ステータスと帰任時点での実際の納税ステータスが異なることとなった場合には、実際の納税ステータスに基づき個人所得税を計算し直し、新たに計算した税額と納税済み税額との差額を清算します。
担任期間の税込所得:
注)賞与と課税手当及び帰任当月の日数按分を考慮しない前提で税金を計算
支給月 | 非居住者として 納税済税額 | 居住者として 再計算した税額 | 追納(還付)税金 “-”は税金還付 |
---|---|---|---|
2022.1-2022.7 | 25,130 | 12,380 | -12,750 |
支給月 | 居住者として 納税済税額 | 非居住者として 再計算した税額 | 追納(還付)税金 “-”は税金還付 |
---|---|---|---|
2022.1-2022.6 | 12,480 | 21,540 | 9,060 |
支給月 | 90日以下非居住者 納税済税額 | 90日超183日未満で 再計算した税額 | 追納(還付)税金 “-”は税金還付 |
---|---|---|---|
2022.1-2022.3 | 870 | 10,770 | 9,900 |
2022.4 | 0 | 3,590 | 3,590 |
合計 | 870 | 14,360 | 13,490 |
支給月 | 居住者 納税済税額 | 基礎控除6万元を 使っての再計算 | 追納(還付)税金 “-”は税金還付 |
---|---|---|---|
2022.1-2022.7 | 17,380 | 12,380 | -5,000 |
上記のように第三者に委託して手続きを行うことができますが、税務局によっては納税対象者のパスポート原本の提出を求めることもありますので、帰国前に税金清算手続きを行うことが望ましいと思われます。
以上
(担当:天津大野木マイツ 周憲苹 傅佳佳)
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