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これまでの、ひとつの取引について発票の額面金額の制限により数枚に分けて発票を発行せざるを得ない状況や、手持ちの発票枚数不足により増冊申請を行う等の手間が省けることになります。
その一方で、納税者が異常な発票発行行為を行った場合や、発票発行に伴うその他の税務リスクを発生させた場合には、税務機関は容易にそれらを発見して、職権に基づき納税者の発行額の引き下げ調整や暫定的に発行中止などの処分を行うことができるようになります。
このように、全電化発票の改革は中国の税務監督管理システムの改進(金税四期)の重要な一歩であり、中国の税収監督管理レベルを引き上げる重要なシグナルでもあります。 全電化発票の発行に際しては、発票の発行とアップロードを同時に行い、発票データは納税者の取引内容及び取引関連者の流通状況を正確に反映したものとなるため、税務機関は取引の各方面の税金関連情報を直ちに入手でき、納税者の取引情報をより詳細に管理することができるようになるとともに、納税者に対する税務リスク分析を行うことまでできるようになります。
「財政部国家档案局の電子会計証憑の精算・記帳・ファイリングの規範化に関する通知」(財政部〔2020〕79号)により、納税者が受け取った電子発票は、どのような形で精算・記帳するにしても、電子発票をファイリングして保存しなければならないとされていることから、電子発票は企業会計資料として保管すべきものであり、全電化発票の普及により、企業が取得する電子証憑は膨大な数量になるため、企業の電子資料の保存、会計档案システムのアップグレードなどの企業財務情報のデジタル化管理に対してより高いレベルのものが要求されることになります。
将来的には、財務ソフトウェアの発票管理モジュールのアップグレードや税務システムや銀行支払システムとの連携なども視野に入れていく必要があります。
【 課題1 】
「金税四期」の活用に際しての税務リスク発生を回避するために、企業は個々の取引に対するコンプライアンス管理をより厳格にして、日常取引フローについて、それを改善し規範化することが必要になります。
【 課題2 】
「金税四期」は財務処理手続きの重点を変えることになります。
【 課題3 】
帳簿に記帳した各費用について、財務担当者がその金額の合理性を分析する必要があります。
【 課題4 】
取引先の選択はより慎重に行う必要があります。
「全電化発票」と「金税四期」で、増値税発票の発行フロー全体が可視化されることになり、ある一連の取引に関与する企業や証憑に税務問題が発生した場合には、後続の受取側の企業に影響を与えることになります。後続の受取企業は受取側として、真実の取引が存在していたとしても、そこには税務リスクが存在し、受け取った発票が偽造発票と認定されると、その受け取った企業は仕入増値税の控除ができなくなり、費用計上したものも損金不算入となり、延滞金及び罰金などの税務処罰を受ける可能性もあることに留意が必要となります。
この点については、これまでの試行期間においても多くの企業が税務機関から処罰を受けており、偽造発票受領の認定は、企業に大きな損失を与えることになっています。
企業は仕入先を選択する際に、税務リスクを評価指標としなければならないため、次のような企業については
慎重に選択する必要があります。
【 課題5 】
その他、将来的には、工商局、統計局、社会保険局、税関、銀行などの機能部門のデータ共有化が一層加速して、企業の様々の情報がより可視化されることになるため、増値税の「非課税取引」におけるリスクも無視できません。
例えば、保険納付基数と従業員の実際支給給与がマッチングしているか、大きな金額の資金の往来が合理的であるか、外貨の取引が税金免除に関わる場合は、契約の整備及び税務届出手続きの実行などにも注意する必要があります。
ただ、確かに税務申告システムである「金税四期」により、税務機関の企業に対する監督管理がより厳格に行われることになる可能性がありますが、日頃から法規規定を順守してコンプライアンスがきちんとされている企業は、過度に心配する必要はありません。
政策参考:
1、「財政部国家档案局の電子会計証憑の精算・記帳・ファイリングの規範化に関する通知」(会計〔2020〕79号)
2、2021年3月公布《税収徴収・管理改革の更なる深化に関する意見》
3、デジタル化電子発票受信試行の徹底に関する公告
――(国家税務総局北京市税務局公告2022年3号)
4、デジタル化電子発票受信試行に関する公告
――(国家税務総局天津市税務局公告2022年5号)
以上
(担当:中国CPA 王小煥 / 中国CPA 左培剣)
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