天津大野木邁伊茲諮詢有限公司
北京大野木邁伊茲諮詢有限公司

財務担当者の出産や病気による長期休暇や離職などにより、財務関連業務の引き継ぎが必要となる場合がありますが、中国ではこの「引継ぎ」が十分に行われないといったことが多くみられます。この会計業務の引き継ぎについては、中国会計法にも独立した条項が設けられており、財務を担当する実務者の責任が明確化されています。

『会計法』第 41 条（会計業務の引継）では、『会計担当者が配置転換または離職する場合には、後任者と引継ぎ手続きを「明確に」行わなければならない。一般会計員が引継手続きを行う場合には、会計機構責任者（会計主管者）が引継を監督し、会計機構の責任者（会計主管者）が引継手続を行う場合には単位・企業あるいは所属部門の責任者が監督し、必要に応じて親会社（又は総公司）などから人を派遣して監督することもできる』としています。
また『会計基礎業務規範』第 25 条では、『会計担当者の配置転換または離職に当たって、本人が担当している会計業務をすべて後任者に移管しなければならない。引継手続が行われていない場合は配置転換や離職をしてはならない』と規定されています。
同じく第 26 条では、『後任者は真摯に引継手続を行い、引き継ぎを受けた未完了の事項は責任を持って対応しなければならない』と規定されています。

以上のように、会計業務の引継ぎを円滑的に行うためには日頃からの財務管理体制の整備や定期的な内部監督手続きがなされていることが望ましいのですが、小規模の組織ですと日常業務はすべて財務員任せになってしまっていて、いざ離職、長期休暇となると何から手を付ければよいのか分からないというのが一般的な状況です。

出産休暇等のようにある程度スケジュールが建てられるような場合は余裕をもって引継手続きをすることができますが、病気等による急な長期休暇の場合には引継がうまくできない場合もありえます。担当者本人が不在でも他の社員や外部の業者・会計事務所でも対応ができるよう日常業務の内容を文書化・見える化しておくことも必要です。

なお、何らかの問題で会社が一方的に財務担当者を解雇するに至ったような場合には、引継ぎの時間の余裕をみると、その間にデータの破壊・改ざん等をされてしまうことがあるため、引継ぎができていないことは覚悟のうえで、1 か月分の給与を余分に払って即刻出社に及ばずとした方がよいケースもありますので、このあたりは顧問の弁護士さんとも相談しての対応が必要になります。