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基本情報
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中国に現地拠点を設け中国ビジネスを展開している会社において、中国のビジネス環境の変化に伴い、当初設立した現地拠点の見直しを行う会社が増えています。
中国は世界最大級の魅力的な市場であることは間違いありませんが、年々企業運営コストが上昇しており、ビジネス環境も厳しくなってきています。
このため、中国拠点のビジネスの見直しにあたっては、現地拠点の現状と外部環境(需要や規制等)を適切に把握し、グループ全体の将来計画において中国拠点が果たす役割とリスクを分析の上、進むべき方向性を確認する必要があります。
中国ビジネスの現在地と方向性を確認し、中国現地でのビジネス継続と判断した場合、現状及び将来性を踏まえ、中国拠点をどのように継続していくか検討します。
また、中国でのビジネス継続が困難と判断した場合、事業縮小方法と撤退手法について検討をします。
判断 | 手法 |
---|---|
現状のまま維持 | 必要に応じ社内改善に取り組む |
新規事業拡大 | 経営範囲変更手続き、許認可取得、資金調達 |
ビジネスエリア変更 | 移転、支店設置、新設+閉鎖 |
複数拠点統一 | 合併、存続拠点に事業譲渡(集約)+清算 |
事業分割 | 会社分割、他のグループ会社に事業譲渡 |
規模縮小 | 減資、事業譲渡、一部事業停止 |
休眠 | 休眠届(2022年3月からの制度、3年を限度) |
撤退 | 会社清算、持分譲渡、事業譲渡+清算 |
現地拠点の組織を大きく変更する場合には、法務及び行政手続きのほか、税務面や労務面でも大きな影響を与えるため、慎重に検討し綿密な計画のもと進めていく必要があります。
環境変化等により中国現地拠点を移転しようとした場合、従業員の雇用や各種行政手続きの煩雑さから、現所在地から遠方への本店所在地の変更は実務上容易ではありません。
このため、実務上以下の方法により実質的な移転が可能となります。
中国国内に複数ある拠点を統一する手法として、複数の法人を一つの法人に包括移転する合併が制度上可能ですが、省(市)を跨る法人の合併は住所変更同様に実務上容易ではありません。
このため、以下の方法で複数拠点の統一をすることができます。
中国国内の1 の拠点の事業を分割する手法として、会社分割がありますが、こちらも複数拠点の統一と同様に遠隔地への会社分割が容易ではないため、実務上は以下の方法で実質的な分割を行うことができます。
現地法人の規模を縮小し継続する場合、事業と組織を縮小化し、縮小化したのちの運営資金に比して手持資金が過大となる場合には、有償減資(資本金の払い戻し)をすることもできます。
事業の縮小に当たっては、中国国内のグループ会社への事業譲渡(業務移管)を行い、組織の縮小化は計画的なリストラを行います。なお、従業員のリストラに当たっては労働法規に従い対応し、適切な経済補償金の支払いを要します。
従前、中国では法制度上休眠は規定されていませんでしたが、2021年7月に公布された中華人民共和国市場主体登記管理条例により、休眠が初めて法制度化され、2022年3月1日から実施されることとなりました。
当該新制度で認められる休眠は以下の要件を満たすこととされています。
労働関係の取扱いについて実務上どのように協議合意すればよいか不透明な部分もありますので、今後追加で関連補充通知が交付されることが期待されます。
なお、従来は実質営業活動を行わず、定期的な税務申告や関係諸機関への毎年の年度報告を行うことで、実務上は休眠状態で維持することも可能ですが、帳簿記帳、定期的な税務申告、毎年の年度監査、年度報告及び本店所在地住所賃料など最低限の維持コストが必要となります。
中国ビジネスの継続が困難と判断し、撤退を検討する場合、会社の現状に応じ計画的に対応していくことが重要となります。
会社の状況 | 状況に応じた対応 |
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現況ビジネスはまだ収益力がある 会社保有資産に価値がある場合 |
持分譲渡による撤退を目指す 持分譲渡が成立しない場合、会社清算を計画 |
中国国内にグループ会社がある場合 | 現況ビジネスは中国国内グループ会社に事業譲渡(業務移管)したのちに会社清算 |
中国国内にグループ会社がない場合 | 計画的に取引の縮小と人員を削減したのちに会社清算 |
持分譲渡 | 解散・清算(任意清算) |
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〇 会社を存続させたまま承継できる 〇 清算に比し行政手続きが簡易 〇 清算に比しトータルのコストが抑えられる 〇 清算に比し撤退完了までの時間が短い × 会社に価値がないと買手が付かない × 交渉事なので取引が成立するとも限らない × 譲渡契約において一定期間の表明保証が付されることが多い × 出資引き上げ時に △ M&A コスト(仲介料、アドバイザリー料)が必要な場合もあり |
〇 会社の意思で自主的に進めることができる 〇 持分譲渡に比し発生するコストを確定させることができる × 潜在的なリスクが表面化しコスト増となる可能性がある。 × 従業員解雇による経済補償金の支払い × 会社清算準備から清算結了まで長期間を要する △ 清算手続き時の労務対応・行政手続き対応等にかかるコスト(弁護士報酬やコンサル料)が必要な場合もあり |
持分譲渡による撤退の可能性がない場合には、解散により会社清算を行うことになります。
中国の制度上破産や特別清算もありますが、裁判所等の関与を受けることから、一般的に日系企業の多くは任意清算により会社清算を行います。
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