ポイント
- 国外居住親族の扶養控除適用には、「親族関係書類」と「送金関係書類」の確認が必要。
- 国外居住親族で30 歳以上70 歳未満の者の扶養控除適用には、留学生は「留学ビザ等書類」が、留学生と障害者以外の者は「38
万円送金書類」の確認が追加で必要。
- 送金関係書類は、銀行法等日本の法律に基づく金融機関や資金決済に関する法律に規定する資金移動業者(銀行以外で送金サー
ビスを提供する登録事業者)の書類又は写しであることが必要。
- 送金関係書類には、居住者が契約したクレジットカード(家族カード)を国外居住親族が利用して生活費等を支払っている場合に
は、当該クレジットカード発行会社の書類又は写しも含む。
国外に居住する扶養親族がいる場合の提出書類
年末調整や毎月の給与支給時の源泉徴収時の扶養控除の適用にあたっては、給与の支給を受ける者より扶養控除申告書を提出していた
だく必要がありますが、国外に居住する扶養親族がいる場合には、追加で以下資料の提出又は提示を受ける必要があります。
また、配偶者控除、配偶者特別控除又は障害者控除にかかる確認書類は以下の通りです。
▼① 親族関係書類
次のいずれかの書類。(外国文書の場合日本語での翻訳文が必要)
- 戸籍の附票写し等日本国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住者親族のパスポート写し
- 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類
(国外居住者親族の氏名、生年月日及び住所または居所の記載があるものに限る。
例;戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書等)
【留意点】
- 上記書類は国外居住親族のパスポート写しを除き原本提出が必要。
- 親族の範囲は6 親等内の血族、配偶者又は3 親等内の姻族まで。
- 留学期間が短期間(1 年を超えない)場合は、国外扶養親族には該当せず。
- 外国政府等が発行する書類の取得には、国により時間と手間を要する場合があるため、早めのアナウンスが必要。
▼② 送金関係書類
給与等の支払いを受ける者が、国外居住親族の生活費又は教育費に充てるために支払われたことを明らかにする書類として
以下の書類。(外国文書の場合には日本語翻訳文必要)
- 国外居住親族への金融機関発行の送金書類
- 国外居住親族がクレジットカードで生活費又は教育費の支払いをしている場合、クレジットカード発行会社が発行したカード利
用明細書類等。なお、当該クレジットカードは給与等の受給者(居住者)が本会員、国外居住親族が家族会員となり、利用代金を給
与等の受給者が支払うこととされているものに限る。
【留意点】
- 送金関係書類は国外居住親族各人別に必要であり、代表者に一括して支払われて場合には、当該代表者のみに対する送金関係
書類となる。
- 現金渡しの場合には、送金関係書類がないものとされる。
- 数年分まとめて送金した場合の送金関係書類は、送金年のみの送金関係書類となる。(複数年分の送金関係書類としての利用は
不可)
- 送金関係書類は、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第二条第三号に規定する
金融機関の書類とされており、日本国銀行法に規定する銀行等、日本の法律に基づく金融機関が作成する書類とされており、海外金
融機関が作成する書類はこれに該当しないため、国外居住親族への生活費を海外金融機関の口座から送金したとしても、送金関係書
類には該当しないこととなる。
- 金融機関には、資金決済に関する法律第2 条第3 項に規定する資金移動業者(銀行以外で送金サービスを提供する登録事業者)
が含まれる。
- 原則として送金関係書類はその年の全ての送金関係書類の提示又は提出が必要。ただし、年3 回以上送金している場合には明細書
を作成し、初回と最終回の送金関係書類を提出する方法も可能。(この場合でも他の送金関係書類は保存が必要)
▼③ 留学ビザ等書類
外国政府又は外国の地方公共団体が発行した以下いずれかの書類とされています。(日本語翻訳文必要)
- 外国における査証(ビザ)に類する書類の写し
- 在留カードに相当する書類の写し
▼④ 38 万円送金書類
送金関係書類のうち、給与等の受給者が国外居住親族各人へその年における支払いの金額の合計額が38 万円以上であることを明ら
かにする書類。
【留意点】
- 38 万円送金書類集計時における為替換算の適用レートは、原則として送金日のTTMだが、日本円を外国通貨に両替して送金し
た場合の当該送金時の日本円支払額とすることも可能。また、国外送金した金額の合計額について、その年最後の支払日におけるT
TM又は実際に適用された為替レートにより一括して日本円換算することも可能。
- 送金関係書類と同様、当該書類も国外居住親族各人別に必要。
- 送金時の銀行手数料は、送金書類に各種手数料の金額が記載されている場合に限り38 万円以上を判定する際の金額に含めても
差し支えないとされている。