天津大野木邁伊茲諮詢有限公司
北京大野木邁伊茲諮詢有限公司

最近の中国国内における長引くCOVID-19の影響と国際情勢の緊張化によるエネルギー資源と原材料コストの大幅な上昇は、企業活動とりわけ中小企業に正常な活動を阻害する要因となっていることから、中国政府は工業経済の安定的な成長を促進し、中小微細製造業企業の発展を支持し、税金負担の軽減を持続的に推進するため、既存の各種時限措置としての優遇税制の適用期限を延長するとともに、その内容にも一部手を加えてさらに効果的なものにすることを意図しています。

中小零細製造業企業に対する一部税金の納付猶予
（財政部・国家税務総局公告2022年第2号「2022年2月28日公布」）

《内容》
2021年第4四半期、2022年第1四半期、第2四半期税金（企業所得税、個人所得税、増値税、消費税及び流転税付加税）の全部（小型企業・零細企業） または一部（中型企業）の納税について6か月間の猶予を受けることができます。

《対象企業》
対象となる「中小・零細製造企業」とは『国民経済業種分類』における業種分類が製造業に該当し、小型企業・零細企業は年間売上が2,000万元未満、中型企業は年間売上が2,000万元以上4億元未満の企業が該当します。
税務申告に際しては本政策に基づき電子税務システムデータが更新されており、申告実績がある企業については自動的に「小型・零細製造企業」または「中型製造企業」に分類がされています

【2021年第4四半期及びその期間の各月の税金】

もともとは《国家税務総局財政部の中小微細製造業企業の2021年第4四半期の一部の税金納付猶予に関する公告」(2021年第30号)により、要件に合致する中小零細製造企業が納付すべき税額の全部（小型企業・零細企業）または50％（中型企業）について３か月の納税が猶予されていましたが、本公告によりその納付猶予期間が6カ月に延長されることになります。
2021年第4四半期の各月に納付を猶予された税金を本公告施行前にすでに納付している場合には、その納付した税金（及び費用）について還付を申請して、改めて本来の納付期限の6か月後に納付しなおすこともできます。
また、今年 1 月に申告した 2021年第4四半期の企業所得税については、5月31日を期限とする2021年度の企業所得税の年度確定申告により発生する追加税金とともに、10月25日までその納付が猶予されます。

【2022年第1四半期、第2四半期の各月の税金】

本公告の規定条件に合致する中小零細製造企業は、本公告に規定された各税種について税法に基づいて納税申告を行った後、小型企業・零細企業は申告金額の全額について、中型企業は申告金額の50%について、いずれもその納付が6ヶ月間猶予されます。

生産サービス業・生活性サービス業の仕入増値税割増控除
（発改財金［2022］271号 〔2022年2月18日公布〕）
（財政部・国家税務総局公告2022年第11号公告「2022年3月3日公布」）

《内容》
もともと財政部・国家税務総局税関総署公告[2019]39号の「生産、生活性サービス業に係る仕入増値税割増控除政策」について規定されている優遇措置の適用期限を2022年12月31日まで1年間延長する内容になっています。

《対象企業》
対象となる業種は「生産サービス業（郵便・電信・現代サービス）」と「生活性サービス業（医療・教育など）」で、本来の仕入増値税の金額について2019年4月1日以降2021年12月31日までに取得した専用発票について10％（「生活性サービス業」については2019年10月1日以降割増率を15％に引き上げ）割増して控除が取ることができるというものです。
中国ではこれらの業種の増値税徴収税率は6％と、製造業や商社の13％と比べて低く設定されていますが、業態の性質上、費用の多くが増値税と関係のない人件費等で構成されており、製造業や商社と比較して仕入増値税がもともと少ないため、この割増控除により手当をしてあげようという趣旨の政策です。

《追加控除する仕入増値税の会計処理》

追加控除部分の仕入増値税について会計上では以下のように仕訳をします。

借）未払税金-未払増値税 XX
貸）その他収益（などの収入科目） XX

増値税小規模納税人企業と一般納税人小型微利企業に対する「六税二費」減免
（国家税務総局公告2022年第3号「2022年3月4日公布」及び
財政部税務総局公告2022年第10号「2022年3月1日公布」）

《内容》
これまでの増値税の小規模納税人に加えて、小型微利企業（個人工商戸含む）に対しても、50%の税額枠内で資源税、都市維持建設税、不動産税、都市鎮土地使用税、印紙税(証券取引印紙税を除く)、耕地占用税の6つの税金と教育費付加、地方教育付加の２つの費用の納付を減免するというものです。

《対象企業》
増値税の小規模納税人と、下記の３つの要件を満たす小型微利企業

• 年間課税所得300万元以下
• 年間平均従業員数300人以下
• 年間平均資産総額5,000万元以下

また、この公告公布前に納付した税金・費用がある場合には、手続きにより還付の申請をすることができます。

小型微利企業の企業所得税の負担軽減措置の延長
（財政部 税务总局公告2022年第13号 2022年3月14日公布）

《内容》
2021年まで実施されていた小型微利企業に対する企業所得税の負担軽減措置である
（財政部 税務総局公告2019年第13号）の内容を2022年～2024年の3年間さらに延長するというものです。

【2021年の実質負担税率】

• 課税所得100万元以下の部分：（所得ｘ1/8）ｘ 20％・・・実質負担税率2.5 ％
  （財政部・税務総局公告2021年第12号 2021年4月2日公布による）
• 課税所得100万元-300万元：（所得ｘ1/2）ｘ 20％・・・実質負担税率10％

【2022年の実質負担税率】

• 課税所得100万元以下の部分：（所得ｘ1/8）ｘ 20％・・・実質負担税率2.5％
• 課税所得100万元-300万元：（所得ｘ1/4）ｘ 20％・・・実質負担税5％上記のように、所得100万元～300万元の部分については、2022年からさらに企業所得税費用の負担が軽減されることになります。

《対象企業》
下記の３つの要件を満たす小型微利企業

• 年間課税所得300万元以下
• 年間平均従業員数300人以下
• 年間平均資産総額5,000万元以下

なお、これまでもそうでしたが、本優遇政策は年間課税所得が300万元を超えると適用できなくなりますので注意が必要です。