A社は6月14日に以下のような取引を行った。
銀行の当日の日本円の買値は1円=0.049929元・売値は1円=0.050296元
6月月初の人民銀行の仲値は1 円=0.051756元
A社は人民元で銀行から日本円100万円を調達した。
A社は月初の人民銀行公表の外貨の仲値為替レートを人民元換算レートとして採用した。
会計仕訳:
借:銀行預金-日本円 5.1756万元(JPY 100 × 0.051756)注1
貸:銀行預金-人民元 5.0296万元(JPY 100 × 0.050296)注2
財務費用-為替差益 0.146万元(5.0296-5.1756)注3
注1:外貨購入100万円は月初人民銀行外貨の仲値を採用して人民元に換算
注2:両替した人民元は銀行の実際の円売り相場で人民元に換算
注3:差額は為替損益に計上し、貸方差額は収益とする。
円取引日の売り相場為替レートは記帳の月初の為替レートより低下しており、
より少ない人民元で、同等の日本円を購入取得することになるため、為替差益が発生します。
下図は2018~2021年末の円/人民元の為替レートの動向を示す折れ線グラフである。
① A 社は2018年から2021年まで同一の外貨資産、負債を保有しており、他の外貨取引
が発生していないと仮定した場合の年末の外貨換算による為替レートは以下の通りである。
注意:為替差損益の計算
預金、売掛金=(年初-年末)為替レート*外貨金額
買掛金=(年末-年初)為替レート*外貨金額
A.当企業は外貨資産・外貨建債権の比重が外貨建債務より大きい
2018~2019 年には円対人民元為替レートが上昇し、日本円資産の人民元換算額の増加を招き、
2019 年には為替差益11.6 万元が発生して企業利益を増加させました。
2019~2021年の円対人民元為替レートの低下は、日本円資産の人民元換算額の低下を招き、
2020、2021 年に為替差損4 万4000 元と47 万9000 元が発生して企業利益を減少させました。
B.「Ⅰ、Ⅱ」と「Ⅲ」による会計上の為替損損益のうち、前者は収益や損失が実現し、実際に資金の増加や減少を生じていますが、
後者は、外貨そのものの金額は変動しておらず外貨のままでみたときには(預金利息は別にして)収益や損失が実現していません。
「Ⅲ」保有外貨及び外貨建債権債務についての期末における記帳通貨への換算調整で認識した為替損益は中国の企業会計制度においては、
直接に損益計算書の当期損益に反映させることになりますので、月次・年度決算数値に直接影響して、その結果、企業所得税の税金に係る資金流動にも影響を与えることになります。
A 社の2019~2021 年度の営業利益が3 年間同一金額であると仮定すると、損益計算書(ここでは日本式フォーマットで説明)の状況は以下の通りになります。
2019年~2021年はN年の経営利益と同じ200 千元である、
A. 2019年には企業所得税負担が29千元増加(116*25%)
B. 2020年には企業所得税負担が11千元減少(45*25%)
C. 2021年は赤字のため、企業所得税を納める必要がなく税負担を50千元(200*25%)軽減し、
発生した繰越欠損金をその後の年度の補填に使用することができるようになり、将来(5 年間の損失補填期間内)利益を実現すれば、
将来の企業所得税の現金流出を70千元(280*25%)減らすことになります。