天津大野木邁伊茲諮詢有限公司
北京大野木邁伊茲諮詢有限公司

本年も残り2か月を切り、12月は年末調整の時期となります。
国外に居住する親族（以下、「非居住者親族」という）がいる場合の扶養控除適用には給与所得者の扶養控除等申告書の他に親族関係や送金関係の書類の確認が必要とされており、令和4年と令和5年で確認すべき書類が異なりますので注意が必要です。
また、海外勤務者の出国年や帰国年における年末調整について留意すべきポイントも併せてご案内いたします。

1. 非居住者親族の扶養控除適用には、「親族関係書類」と「送金関係書類」の確認が必要。
2. 令和5年分以降、非居住者親族で30歳以上70歳未満の者の扶養控除適用には、留学生は「留学ビザ等書類」が、留学生と障害者以外の者は「38万円送金書類」の確認が追加で必要。
3. 海外勤務者の出国年における年末調整は出国する日までに行うこととされており、出国日までに支払われた給与等が対象。所得控除の適用の可否及び適用金額は出国日の現況（合計所得金額はその年12月末までの見積額）及び出国日までに支払われたものが対象。
4. 海外勤務者の帰国年における年末調整は一般の社員と同様の時期に行い、帰国の日以降支払われた給与等が対象。所得控除の適用の可否及び適用金額は、年末の現況及び帰国日以降に支払われたものが対象。
5. 海外勤務者が納税管理人の届出をして確定申告をしている場合には、扶養親族等はその年末の現況で判定。
6. 住宅ローン控除は、海外勤務者が家族同伴で出国する場合は出国年以降の適用は不可。
   単身赴任で出国し、家族は引き続き居住する場合には一定要件に該当すれば適用可。
   海外勤務前に住宅ローン控除の適用を受けていた海外勤務者が帰国した場合には、一定の要件及び手続きをすれば残存期間について適用可。

年末調整や毎月の給与支給時の源泉徴収時の扶養控除の適用にあたっては、給与の支給を受ける者より扶養控除申告書を提出していただく必要がありますが、国外に居住する扶養親族がいる場合には、追加で以下資料の提出又は提示を受ける必要があります。

また、配偶者控除、配偶者特別控除又は障害者控除にかかる確認書類は以下の通りです。

（１）令和4年までの確認書類

①　親族関係書類

②　送金関係書類

（２）令和5年以降の確認書類

①　留学ビザ等書類

②　38万円送金書類

（１）海外へ赴任する者の年末調整

海外に1年以上の予定で転勤する者は、日本を出国した日の翌日から非居住者となり、出国の日までに居住者であった期間について年末調整を行います。

【留意点】

• 出国の日までに支払われた給与等が年末調整の対象となる。
• 社会保険料・生命保険料・地震保険料等の保険料控除や医療費控除は、出国する日までに支払われた保険料や医療費が対象となる。
  なお、前納保険料については出国の日までに保険料支払期日が到来している保険料が対象となる。
• 扶養控除や配偶者控除は、生計一親族の判定は出国時の現況により、合計所得金額の判定は出国時の現況により見積もったその年1月1日から12月31日までの合計所得金額で判定。
• 基礎控除の控除額は、出国時のその年の合計所得金額（2,500万円以下）で判定。
• 所得金額調整控除額は、出国時のその年の給与収入額で判定。

（２）海外勤務から帰任した者の年末調整

海外勤務から帰任により日本に入国をした者は、入国した日から居住者となり、入国日からその年12月31日までの期間について年末調整を行います。

【留意点】

• 入国の日以降支払われた給与等が年末調整の対象となる。
  なお、入国の日以後海外で支払われた給与等は確定申告にて合算申告を行う必要あり。
• 社会保険料・生命保険料・地震保険料等の保険料控除や医療費控除は、入国日以降に支払われた保険料や医療費が対象となる。
  なお、前納保険料については入国日以降に保険料支払期日が到来している保険料が対象となる。
• 扶養控除、配偶者控除や障害者控除などは他の一般社員の年末調整と同様の取扱い。

（３）確定申告をする者の出国年の扶養控除の判定について

出国をした年の年末調整における扶養控除の対象となる者の判定は、出国の日の現況によることとされているが、非居住者期間に不動産所得等の国内所得を有し、納税管理人を設置し確定申告をする場合には、当該扶養控除の対象となる者の判定は年末時点の現況により判定とされるため、確定申告において出国後に増加した扶養親族にかかる扶養控除を受けることができます。