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昨年2023年は、中国のコロナ政策の変更により中国への渡航は従前に比べ容易となったこともあり、中国の出張を本格的に再開された
会社は多いのではないでしょうか?
一般的に中国に183日以上滞在する者は中国での個人所得税の納税義務が生じます。
また、日本の居住者が中国へ出張し中国での個人所得税の納税が生じる場合、日本の所得税の確定申告において外国税額控除を適用
することで、中国で納税した個人所得税の一部を日本の所得税から取り戻すことができる可能性があります。
そこで、今回は中国出張者に係る中国個人所得税課税及び日本の外国税額控除適用について再点検していただく際のポイントを以下に
解説いたします。
中国での個人所得税納税義務は、以下中国の滞在日数に応じて課税対象範囲が異なります。
※日中租税条約上の短期滞在者免税要件に該当すれば免税。
物理的に中国に滞在している日数をカウントし、滞在24時間に満たない日は滞在日数に含まれない。
(出入国日は滞在日数にカウントしない。)
4月1日入国→4月10日出国の場合、滞在日数は8日としてカウント。
(入国日・出国日ともに24時間未満の滞在の場合。)
中国の滞在日数が183日以下の場合、日中租税条約により中国での個人所得税は免税となることは多くの方が知るところですが、
当該租税条約の短期滞在者免税規定は以下要件をすべて満たす必要があります。
出張先法人から手当てが支払われている場合や、出張者の中国現地での業務がPEと認定され企業所得税が課された場合等は、
②と③の要件に該当しないこととなるため注意を要します。
中国居住者は翌年3月1日~6月30日迄が確定申告時期とされています。
また、中国国内に任命・雇用される組織を有しない者は、経常的な居住地(出張時の宿泊先等)又は主たる所得源泉地の主管税務機関の
所在地が申告納税地とされています。
現行実務上は、自然人として電子申告の方式により手続きを行います。
ただし初回登録手続きとして本人確認書類等を税務局に書面で提出する地区もありますので、現地側にて対応できるコンサルや現地会
計事務所に代行を依頼された方が安心です。
なお、申告期限に遅れて申告納税した場合には、日歩0.05%の延滞金が発生しますが、日本のような除算期間はありませんので注意が
必要です。
課税所得計算上、中国国内源泉所得計算において出入国日はそれぞれ0.5日としてカウントされます。
また、国外での公休日や個人休暇及び研修は国外勤務日数には含まれず国内勤務として取り扱われます。
(上記1.①とは異なるため注意)
中国での個人所得税の申告納税が完了しましたら、日本での外国税額控除申告に必要となる申告書データと完税証明書を忘れずに
取得しておいた方が良いです。
中国出張者の中国での個人所得税は業務命令により発生した税金として会社が負担した場合、当該税金相当分は中国出張者に対する
経済的利益の供与となることから、当該税金を納税した月の給与とみなされます。
また、当該税金相当分の資金は手取りで支給されているものとしてグロスアップ計算により源泉徴収すべき所得税の計算が必要となります。
中国出張者の中国で課された個人所得税を日本の所得税から控除する(外国税額控除)ためには、中国出張者個人で行う確定申告手続
きが必要となります。
外国税額控除できる金額は、国外所得発生年(中国に出張した年)の日本の所得税・住民税のうち国外源泉所得に対応する金額が限度と
されています。
また、国外源泉所得が発生した年(中国出張年)と国外税金を納税した年(中国での確定申告納税年)が異なる場合には、2年分の確定申
告手続きが必要となります。
なお、日中租税条約の適用を受けることで中国の個人所得税が免税となるにもかかわらず、中国での個人所得税を納税している場合には、
当該中国個人所得税は外国税額控除の対象となる外国税金には該当しないこととされているので注意が必要です。
外国税額控除の申告は個人の所得税申告全般に関わり、かつ、専門的知識を要するため、税理士に申告代理を委託された方が安心です。
中国の個人所得税は日本と同様に累進課税制度(3%~45%迄7段階)ですが、中国出張者は一般的にグロスアップ計算となることから、
日本に比して税率の階段が高くなる傾向にあります。
また、延滞税は日歩0.05%=年利18.25%と高率であることから、延滞税の負担も小さくありません。
このため、中国出張者の中国所得税の納税義務がないか今一度ご確認ください。
中国所得税の納税義務がありとなる中国出張者がいる場合には、6月30日までに中国での確定申告を要しますので、弊社含め中国現地
のコンサルや会計事務所にご相談ください。
さらに、日本での外国税額控除については、中国出張者個人の所得税申告や各種控除制度の適用状況により外国税額控除の適用の効
果が異なりますので、具体的に検討される場合には弊事務所含め税理士に事前にご相談ください。
以上
(担当:中国大野木会計グループ 安達 )
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