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2023.10月号 社保・住宅積立金基数上下限について
中国で設立した企業は法律に基づき、従業員のために法定社会保険と住宅積立金を納付することが義務付けられています。法定社会保険は養老保険・失業保険・労災保険・医療保険・生育保険の５つで構成されており、雇用者はこれら 5 つすべてについて雇用主負担分を、従業員は養老保険・失業保険・医療保険の３つと大額医療補助を負担します。
法定社会保険と住宅積立金は毎年、前年度における市従業員平均給与に基づき拠出基数の上限・下限が改定されます。企業はその上下限の範囲において、従業員の拠出基数を更新する必要があります。従業員の前年 12 ヶ月の平均給与額（賞与・手当等すべて含む）がこの基数の上限と下限の間に入っている場合には、各人の実際の平均給与額を基数に計算します。法定社会保険と住宅積立金の企業負担及び個人負担比率、基数改定及び上下限の公布時期は地区によって異なります。
（１）北京市のケース
【社会保険と住宅積立金拠出基数改定時期】
毎年 7 月に統一されています。
【2023 年政策の変更点】
2022 年迄は法定社会保険と住宅積立金の拠出基数調整手続きについては、それぞれの管轄の役所に前年度平均賃金を申告しなければなりませんでした。
これが今年からは、社会保険と住宅積立金の申告ルートが統一され、企業の選択によりこのルートを使って申告すれば、データを法定社会保険と住宅積立金の当局の間で共有されるようになりました。
【拠出比率】
北京市における法定社会保険の雇用者負担分は基数の 26.5～28.2％、個人負担分は基数の 10.5％プラス大額医療補助（年間 36 元）、住宅積立金は雇用者も従業員も5％～12％の範囲で同じ料率にて納付します。
【各項目の負担比率】
改定後の月拠出額について雇用者・従業員がそれぞれ負担する社会保険と住宅積立金の月最高額と月最低額は
下表のとおりです。
上述数字は仮に社会保険の会社負担率は 26.5％、住宅積立金は 11％である場合で計算する。
（２）天津市のケース
【社会保険拠出基数改定時期】
毎年 1 月と（基数上限・下限は）年の後半に改定天津市の企業は毎月 1 月初に社保当局へ従業員前年度平均賃金の金額を申告し、社保計算の基数を改訂することになります。但し、1 月初時点では社保基数の上限と下限は改定されていないため、この段階では上限・下限は変更されていません。
社保基数の上限と下限は 7 月以降に公布されるため、1 月初時点では基数がもとの上限又は下限であった従業員の基数は、新しく公布された基数に基づき、システムで自動的に調整されることになります。
【住宅積立金拠出基数改定時間】
毎年 7 月
【拠出比率】
天津市における法定社会保険の雇用者負担分は基数の 27.2～28.9％、個人負担分は基数の 10.5％プラス大額医療補助（年間 260 元）で、住宅積立金は雇用者も従業員も 5％～12％の範囲に同じ料率にて納付します。
【各項目の負担比率】
改定後の月拠出額について雇用者・従業員がそれぞれ負担する社会保険と住宅積立金の月最高額と月最低額は
下表のとおりです。
上述数字は仮に社会保険の会社負担率は 27.2％、住宅積立金は 11％である場合で計算する。
（３）外国籍駐在員の養老保険納付免除について
日本で厚生年金保険に加入している外国籍駐在員については、日中社会保険協定に基づき、中国国内の管轄社会保険機構での免除申請手続きにより、中国滞在 5 年間については、中国での養老保険（会社 16％、個人 8％）の納付の免除を受けることができます。
この社会保険相互協定は 2019 年 9 月 1 日に公布されており、公布日から起算して 5 年を経過するのが 2024 年の 9 月ですので、2019 年 9 月時点で既に中国に赴任していて公布直後に相互協定による免除の適用を受けている駐在員の方は、規定上の免除期間の 5 年満了となる時期を迎えます。5 年を経過後もさらに免税延長が認められるのかまだ明らかにされていませんので、今後の動向に注目する必要があります。
以上
（担当：天津大野木マイツ 高昆）